少子化を乗り切る制度の構築を

国内の人口は18年連続減少
少子化を乗り切る制度の構築を

 新年度が始まりました。新社会人になられた方、転職、異動、転勤をされた方など、生活や住環境にさまざまな変化がある時期です。
特に新社会人にとっては、社会の一員として、希望を抱き、かつ緊張感に満ちたスタートを切ったところだと思います。

 社会人になって、今まで気が付かなかったことにも直面するでしょう。
その1つが医療保険制度です。わが国は国民皆保険制度で、皆さんの安全・安心な暮らしを保障しています。
今まで被扶養者として病気やけがのときに使用していた健康保険証(マイナ保険証)は、これからは健康保険料を支払う被保険者として社会を支える側から使っていくことになります。

 それでは、給与から引かれる健康保険料は何に使われているでしょうか。
主なものとして被保険者やその家族の医療費の支払い、健康づくり・疾病予防などに充てるための「基本保険料」があります。
さらに高齢者の医療費を支える“拠出金”として使われる「特定保険料」があり、これが高齢化の進展により年々増加し、今日では健康保険組合全体の保険料収入の4割を超えています。
このように、人口構造の変化は保険料増加の大きな要因になっています。

 こうした視点で、2月27日に厚生労働省が公表した2024年の人口動態統計の速報値を見ると、24年の1年間の出生数は72万988人で前年を3万7643人下回り、9年連続で過去最少を記録しました。
一方、死亡者数は4年連続増加の161万8684人で過去最大となり、差し引き▲89万7696人は過去最大の減少で、18年連続して人口減少が続いています。

 このことは、今後も減少が見込まれる現役世代が高齢者の医療費を支え続けることを意味します。
健保連は以前より現役世代の過重な負担の軽減を訴えていますが、取り組むべき課題はいろいろあります。
新社会人をはじめ現役世代が自分の将来に希望を持てるよう、持続可能な医療保険制度の構築に向けた改革の実行が強く求められています。

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2025年04月04日